私たちが専門家としてコンサルタントを行なう基本的なスタンス
「あなたは専門家なのだから、正解を知っているはず。私たちを指導してください」と管理組合から要望されることがあります。たしかに管理組合が、法律等に触れるような選択をしようとしている場合、私たちコンサルタントは誤りを指摘いたします。しかしながら、私たちの役割は、正しい答えや具体的な結論を提供することではなく、以下のように考えています。- どなたが役員を担っても、管理組合の目的である「資産の保全」を達成できるようにサポートすること
- 適正な運営をサポートすること
- 合意形成を適正に行うためのプロセスを助言し、ご案内すること
1.理事会運営サポート業務
理事会運営サポート業務とは、マンション管理士等の専門家が理事会に参加するなどして理事会の運営を支援する業務です。具体的には、以下の三点です。
- 管理会社が行う「委託管理業務」を「管理仕様書」に基づいてチェックし、業務が確実に行われていることを確認し管理組合の利益を守る。
- 管理組合の運営が公正(法律、規約、細則に基づき適正か)、公平(組合員すべてに管理組合の権利と義務が公平に分配されているか)、公開(管理組合の運営に関する情報が組合員に公開されているか)の原則で行われているかを確認する等、監事の業務を補佐する。
- 管理組合の組合員であれば誰でも理事会の役員を務められるように、就任した役員に対し専門的な知識と経験を提供し、管理組合の運営が継続して適正に実施されるよう支援する。
マンション管理組合に調査のため訪問すると、「ここは管理会社がちゃんとしているから大丈夫!」、「管理組合の運営については、管理会社に聞いてください。」このようなご返答が多くあります。管理会社は、管理業務のプロとして管理組合から委託を受けて管理業務を行います。しかし、管理会社は営利団体であり、管理組合の利益と自社の利益が相反した場合、自社の利益を優先するということです。「お客様である管理組合さんを第一に考えて・・・」という「うたい文句」があったとしても、自社の利益確保が前提となっていることは否めません。
例えば、管理会社等から管理委託費の値引き提案があっても、それは単なる値引きなのか?管理仕様を落とした減額なのか?発注者である管理組合は、それを適切に検証する術(すべ)がないことが多いと思います。
「マンション管理適正化法」は、マンション管理士が発注者(管理組合)にこの術(すべ)を提供することを求めています。
ここで、管理組合と管理会社が管理委託契約を締結する場合を考えてみましょう。
以下の図①は、管理組合が理事会サポートを採用せずに管理会社に発注する一般的なパターンです。
発注側(管理組合側)に専門家(マンション管理士等)がいない場合は、管理仕様の設計は、受注者である管理会社が行い見積りします。そして管理組合へ見積提示→交渉→合意という段取りを経て契約となります。皆さんの管理組合では如何でしょか?
問題なのは、契約時点では業務が実施されていないことです。つまり、管理組合(発注者)が、合意した「仕様」のとおり業務が実施されたかどうかを専門的にチェックできません。建築の請負契約と同様に、発注者が業務を監理しない場合に懸念される大きなリスク(例:本当に契約通りの工事が行われたのだろうか・・・)があります。
本来どのような業務を発注するかは「管理組合」が決めなければなりません。レストランで「すみません、私は何を食べるのですか?」と店員に聞く客はいません。注文する客が何を食べるかをオーダーするのは当たり前です。
「管理仕様」の内容について、全く関与していない管理組合は、主体的に運営できているとはいえないのではないでしょうか。
図②は、管理組合が理事会運営サポート業務の支援を受けた場合です。
発注側(管理組合側)を専門家(マンション管理士等)が支援(赤文字の部分)しますので、「管理仕様書」は管理組合側で主体的に作成することができます。このことによって見積書の内容確認についても管理組合が確実に行えます。
重要な点は、発注者(管理組合)が管理業務を監理できないという問題点が解消出来ることです。契約通りの仕事が行われたかどうかを専門家(マンション管理士等)が確認しますので、皆さんは安心して管理委託費を支払うことができます。
こうしたプロセスを1年間の管理組合運営の中で絶えず行なうことで、管理組合と管理会社の間に適度な緊張感ができ、管理業務が適正に実施される環境となります。
どの組合員が理事長であっても管理会社と本来あるべきパートナーとして適正な契約交渉ができる状態になります。また、管理委託契約の実施状況を管理組合が客観的に評価し判断することで、管理会社と信頼関係を築くことができます。
理事会サポートは、受託した私たちから気軽に提案、または委託した皆さんから気楽にリクエストしてもらえるように訪問回数の制限を設けていません。もちろん電話・メール相談等も同じです。スケジュールの許す限り必要に応じて訪問いたします。
私たちとしては理事会サポートをできる限り安価に提供したいと思っていますが、継続的にサポートするためには月額50,000円(税別)を基準と考えています。
ただし、管理組合によって事情はさまざまだと思いますので、お気軽にご相談下さい。
2.管理委託費の見直し
「管理委託費の見直し」とは、選んだ他の管理会社にも話を聞きながら自分たちにとって適切な委託契約金額は幾らなのか?を見極める取組みです。
管理委託費は管理費会計の支出の中で大きなウエイトを占めています。もし、あなたのマンションで管理委託契約がマンション竣工当時より大きく見直されていなければ、管理仕様を変更しなくても、余計な費用をカットすることも可能です。
また、この取り組みによって他の管理会社の提案を聞くことができますので、目からウロコの提案を今後の管理運営に生かしたり、管理組合の新たなパートナーを見つけたりすることが可能になります。
ただし、この取り組みは、管理組合だけで行うと大変な作業になります。
※このような作業が一般的に必要になってきます。
- 実施スケジュールの検討
- 新聞などへの公募
- 管理委託契約仕様書の検討(現行契約内容と実施内容が異なる場合が多い)
- 選考比較書類の作成
- ヒアリングの運営
- 広報チラシ案作成、契約更新(管理会社継続の場合)
- 新旧管理会社引継ぎ(管理会社変更の場合)
現在の管理会社に不満をお持ちの管理組合、将来の資金計画に不安をお持ちの管理組合は、管理委託費の見直しの経験豊かな私たちにご相談ください。
3.管理規約のチェック
マンションに取って管理規約は共同生活を快適に過ごすための憲法にあたります。
国土交通省では過去に何度か「標準管理規約」を改正し、その時代にあったものに改正されてきました。
しかし、多くのマンションでは入居時に分譲会社から提供された管理規約をそのまま使っておられる場合がよくみられ、管理規約を改正されたマンションでも、最近の居住実態の変化に対応できていないものが多くあります。
例えば
- 外部区分所有者の増加に伴い、役員のなり手不足や、総会の代理権の問題。
- 民泊利用や、シェアハウスに対する問題。
- 未収金に対応するためのルールの厳格化
その他にも、以前の規約制定時には考えられなかった多くの問題が発生してきています。
これらの諸問題が起きたときの解決や、争いごと解決の根拠になるのが「管理規約」です。
あなたのマンションの「管理規約」をチェックし、その妥当性を検証したり、そのマンションの実情に合った改正のお手伝いをサポートネットでは行っております。
4.滞納処理
マンション管理組合にとって管理費・修繕積立金は建物設備を適切に管理・保全するための唯一の資金です。国土交通省作成の「マンション標準管理規約」にも管理費等の納入は組合員の義務として明記されています。
しかし、多くのマンションでは、この管理費・修繕積立金が予定どおり納入されず滞納が発生し、組合運営に支障が出るという事態が多く発生しています。滞納が発生した場合、管理組合は滞納者に対して督促を行うのですが、役員も組合員ですから組合員同士で返済を強く迫ることが難しいのも事実です。
管理会社と管理委託契約を結び、管理業務を委託している管理組合においては、管理会社が督促業務を行います。
以下は督促業務の一例です。
- 毎月度の滞納者について、管理者(理事長等)への報告業務。
- 短期の滞納者に対する請求書、催告書の送付等の督促作業。
- 電話や訪問による督促作業。
- 長期の滞納者には、内容証明郵便による書面の送付、少額訴訟や支払督促等の法的手続きの補助作業(弁護士等の専門家への業務委託について)。
このようにきめ細かい督促業務を行い法的手続きにおいて勝訴判決を得たとしても、滞納金の回収に至る事例は少ないのが現状です。
管理費等の滞納は管理組合の目的である建物設備の保全を適切に行うために障害になります。
早期に解決しなければならない問題ですが、強制的に回収できる決定的な手段が少ないのも事実です。
管理組合としては、組合員に対し管理費等の滞納が他の組合員に多大な迷惑をかけるとの意識を持ってもらうことと、普段から管理組合に関心を持って協力してもらう運営を心がけていくことが重要になります。
NPOマンションサポートネットでは、管理組合が適正な滞納処理を行えるよう、以下のようなお手伝いをさせていただいておりますので、ご相談ください。
- 督促業務を行う中で、滞納者に返済計画を提出していただきやすい環境づくり
- 法的手続きに関するお手伝い(会員に弁護士等の専門家が在籍しています。)
- 管理会社が行う督促業務の確認
5.紛争解決
多数の居住者が生活するマンションでは、様々なトラブルが発生します。
- 上下階の騒音
- ペットの飼育
- 自転車置場の使い方
- 専有部分の改修工事
これらの紛争を解決すること自体は管理組合の仕事ではありませんが、居住者間のコミュニティーを良好にすることである程度防ぐことは可能です。
NPOマンションサポートネットでは、管理組合の顧問業務の中で、組合員、居住者の良好な関係が築けるよう支援いたします。
また、管理組合が紛争に巻き込まれた場合には、法律の専門家等も支援に参加し、総合的に解決に向けた管理組合支援を行います。