非営利活動概要
マンションに住むということ
日本の全世帯の内、分譲と賃貸を合わせた集合住宅に居住する世帯は40%を超えています。
特に大都市では半分以上の世帯が集合住宅に暮らしています。
集合住宅は、都市の居住形態として定着しており、交通アクセスが良い商業地に立地が可能であり、土地の有効利用や都市機能の活用の点から様々なメリットがあるといえます。また、高齢者にとって集合住宅は、介護や看護、見守りなどの観点から、スケールメリットを生かし福祉的ケアの拠点づくりが容易で、コミュニティ形成に向けての活動もしやすいなどの利点があります。階段や段差などの問題を解決できれば高齢者にとってより安心できる居住形態だと言えます。
一方で集合住宅には種々の問題があります。特に分譲マンションは、部屋の中は個人の持ち物ですが、共用部分(玄関ドアから外)や敷地は共有になっているので、個人の判断で管理組合に無断で使用したり、他人に使用させたり、個人の都合で修理したり、もちろん共用部分を売買することもできません。玄関のカギ一つで自由に外出できたり、ご近所づきあいの煩わしさから解放されたり、台風や地震等の自然災害にもびくともしない安全性などは集合住宅の良い点ですが、近接する住戸間の生活音の問題、ペットの問題、ゴミ出しルール、自転車置き場の不足、駐車場の不足、管理費や積立金の値上げ、修繕工事の一時金の徴収、管理組合の役員就任など、難しくわずらわしい問題が多くあります。
集合住宅に快適に住み続けるためには、このような問題に対して、他の居住者や所有者と一緒に解決のために協議を尽くし、ひとつひとつ合意していかなければならないという大変手間のかかるプロセスが必要なのです。
主体的な管理組合の運営とは
分譲マンションの居住環境の維持、そして資産価値を維持するためには、他の所有者や居住者との合意形成のための容易ではない努力が必要となります。
このような分譲マンションの共用部分の維持管理を行なうのが「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)において定められている管理組合です。しかし実際にはすべての分譲マンションの区分所有者がこのことを理解し、自らが管理組合の構成員であり、管理の主体であることを理解できていないのが実情です。
管理組合が、集会を開き、規約を定め、管理費や修繕積立金を集め、事業計画や予算に基づいて建物共用部分を計画的に維持管理して行き、または共同住宅に生活する上でのルールを定めて複数の所帯の人々の生活空間を適切に維持していく、といった本来の機能を管理組合が果たさなければ、やがてそのマンションは建物構造や設備の劣化が進行し、集合住宅としての本来の機能や生活上の快適性を損ない、住宅としての資産価値も下げることにつながります。建築後20〜30年経過するマンションでは、建物の経年化と居住者の高齢化によりこうした問題が徐々に顕在化し、管理組合に重くのしかかってきます。
わたしたちはこのような分譲マンション管理組合に求められる主体的な運営をサポートし、機能不全に陥らないようにすること、また、すでに機能不全が深刻化しているマンションについては、その再生につながる支援をすることを目的とし、情報提供や相談対応、実務にかかる技術者や専門家の派遣などを行います。
主な活動
管理運営に携わる人のスキルアップやマンション生活におけるトラブル解決を目的とした情報提供を行ないます。
- マンション管理セミナーと相談会の開催
- 行政との共催セミナーまたは行政主催セミナーへの講師派遣
- 行政の相談窓口への相談員派遣
2.診断・報告事業
管理に問題を抱え、建物維持修繕が適切に行なわれていないマンションに対して建物簡易診断を行い、管理組合や区分所有者への報告会を通して運営上の問題点の指摘や修復に向けてのアドバイスを行ないます。
3.調査・研究事業
高齢者福祉や若年労働力の活用の観点から住宅ストックである団地・マンションの分布状況や管理状況を調査し、行政や関連団体と連携して有効なストック活用の方策を模索して高齢化社会におけるまちづくりに寄与することを目指します。
4.京都マンションミーティング
テーマごとの継続的な勉強会などへの講師派遣、情報提供、運営補助などを行ない、マンション管理組合や住民のネットワークづくりをサポートします。